2016年3月20日日曜日

Colorless tsukuru tazaki and his years of pilgrimage

Haruki Murakami

2016-03
キーワード
友達,男と女,
東京,渋谷,名古屋の栄,finland
Finland/Hameenlinna

久しぶりに,読み続けたい,読むのが待ち遠しい小説だった。

名古屋に住む3人の男子高校生と二人の女子高校生。
ボランティアを通して知り合った仲の良い5人組。いつも5人で行動していた。
高校を卒業して,4人は名古屋に残り,多崎つくるは,東京の大学に入学した。
つくるは,大学で駅を作るための勉強をして,駅を作る会社に就職した。
彼は,駅に行き,駅の機能を観察するのが好き。
例えば,新宿駅,中央線の特急が長野に向かうのを眺めて時間を過ごす。

5人は,すでに30代の半ば。高校を卒業した後,彼ら彼女らに何が起こったのだろう。

生きることの不安,時間だけが癒してくれる傷,生きていく場所と友達,
そんなことを語る小説。

(1st sentence)
From July of his sophomore year in college until the following January, all Tsukuru Tazaki could think about was dying.

http://www.harukimurakami.com/book/colorless-tsukuru-tazaki-and-his-years-of-pilgrimage


2016年2月3日水曜日

魔法の言葉

星野道夫

(2007-02-17)
この本を読むと、疲れが取れます。やさしい気持ちになれます。著者が、本当に優しい心をもった人だからでしょう。

著者の星野さんは、アラスカの写真で有名なアウトドア写真家です。エッセイも良いです。大学を卒業後、アラスカに行き、そこで暮らし写真を取り、そこから素朴な話を発信していました。残念ながら、だいぶ前に他界しました。

この本は、著者が、いろいろな所でおこなった講演を文章に直したものです。素朴で、優しく、夢のある話です。加えて、とても美しく雄大な写真がのっています。僕は、いつも心が疲れると、この本を読み、ストレスを取り除きます。世知辛い都会にいると忘れてしまう事、自然、動物、宇宙、命、そんな事の話が沢山詰まっています。

(2016-02-03)
僕が最も好きで憧れる写真家。
この人の写真を見ていると,直にアラスカに行きたくなる。

(1st sentence)
第一章,卒業する君に
僕とアラスカの関わりは15年ほど前,18歳の頃に遡ります。皆さんとそんなに年齢の差がないですね。

http://www.michio-hoshino.com

2016年2月2日火曜日

終の住処

磯崎憲一郎

2016-01-06

バブルのはじける前に東京周辺でサラリーマンになり,そのまま長い間,同じ会社に勤め,今は50台くらいの中年の男。いわゆる90年代のバブルと70年代安保/団塊の間の世代。それなりの役職にはついた。

彼は,若い頃は会社の女性にもてた。
あるいは,日本の会社では良くある不倫関係だろうか?

彼は,何のために生きているのか,自分では良くわかっていない。

その妻はロボットのようだ。彼は,妻が何を考えているか,全く理解できない。そんな夫婦にも娘が生まれ,その可愛い娘が大きくなる頃には,一軒家を建てることになる。

彼のような「会社人間」は,日本にたくさんいるのだろう。彼らは幸せか?そんなことは描かれた小説。

何だか,身につまされる,のが怖い。

amazon review

2016年1月31日日曜日

宇宙が始まる前には何があったのか?

2014年3月,「宇宙の初期に起こったインフレーションによる重力波」の証拠を発見したという発表がアメリカのBICEP2グループからありました。

「インフレーション」とは,現在の所,もっとも有力な宇宙の始まりを説明するモデルです。このモデルによると,何も無かった宇宙が量子論的な揺らぎによって非常に短時間(0.0000....1秒; 10の-36乗)の間に急激に膨張(1000....000倍; 10の26乗)しました。
この理論を使わないと説明できない,いろいろな観測事実があります。

インフレーションが本当だとすると私たちの宇宙は「無」から始まったことになります。その前には,空間も時間も無かったと考えられています。そんなことが可能なのでしょうか? そもそも時間に始まりはあるのでしょうか? これらは,人類がずっと考えてきた究極の疑問です。多くの宗教や神話では,「神」が宇宙を作ったと考えます。では「神」はだれが作ったのでしょうか?これらの疑問に,最先端の技術を用いて「観測事実に基づいて」挑んでいるのが,現代の物理学者,天文学者たちです。

この本は,タイトルにある通り「無からどうやって我々の宇宙を作るか」をできるだけ分かりやすく,かつ現在の科学理論に基づき説明しようとするものです。科学的な説明に加えて,論理的にもどう考えるか,丁寧に説明しています。

著者のM.LKraussは,優れた素粒子・宇宙論研究者であり,一般向の本も何冊も書いています。

さて,本当に「無」から宇宙は作れるのでしょうか? これに科学的に答えるには,量子論と相対論が必要です。

量子論は,電子や陽子といった物質のもとになる素粒子の世界の理論です。ここでは,ある実験のエネルギーと時間は同時に正確には決められないという「不確定性原理」が重要になります。一方,アインシュタインによる相対論は,時間,空間,重力の物理です。宇宙の始まりは,無限小の大きさであり,時間と空間の始まりなので,この二つの理論を同時に考える必要があります。アインシュタインは,この二つの理論の統合に挑みましたが,成功しませんでした。ホーキングも大きな貢献をしていますが,成功していません。未だ,だれも成功していません。この本の主題も,この二つの統合に挑む最近の科学の成果が中心です。

さて,我々は宇宙の始まりを理解することができるでしょうか? それには,宇宙の果てに迫る非常に精密な観測が必要です。さらに,科学の常識を覆す新しいパラダイムを生み出す,ニュートンやアインシュタインに匹敵する天才が必要です。

昔の人は,「地球が丸いこと」や「太陽系が天の川の中にあり,宇宙には天の川のような銀河が大量にある」ことを知りませんでした。同じように私たちが知らない「別の世界」が存在するでしょう。もしかしたら,「我々の宇宙」以外に沢山の「宇宙」があるかもしれません。あるいは,我々の知っている4次元の世界は,実はより高い次元の世界の一部かもしれません。例えば,「超弦理論」や「M理論」がこれらを考えています。

この本は,このような現代の宇宙論を理解するきっかけになります。

なお,私も20年以上に渡り,宇宙を理解しようと日々働いていますが,未だ謎だらけです。

S.Hawking, 「A Brief history of Time」,「ホーキング,宇宙を語る」
S. Weinberg,"The first three minutes" ,「宇宙創成、最初の3分」

走ることについて語るときに僕の語ること

村上春樹

(2008-1)

良い本です。いろいろ参考になった。共感できた。面白くて読みやすい。

村上春樹の作り方が書いてある。走ること、書くこと、そして生きることについて、語るように書いてある。大事なことがいくつも書いてある。村上春樹さんの小説にも、大事なことがいっぱい書いてあるに違いない。恥ずかしそうなことなども含めて、正直に書いてある。

創作活動には、人並み以上の体力、意思、努力が必要らしい。当たり前か。

「本当に価値のあるものごとは、往々にして、効率の悪い営為を通してしか獲得できないもの」

僕も50歳になったら、自分の生き方を振り返り、こんな「メモワール」を書いてみたい。人生の棚卸しだ。僕は、50歳までにどんな習慣を身につけているだろうか? 自分の性格、体、心をどれだけ理解しているだろうか? 何をあきらめ、何をあきらめていないだろうか?

体を鍛えることは、大事なことだ。



職業としての小説家

村上春樹

http://www.switch-store.net/SHOP/BO0068.html



* 村上春樹は,30年以上にわたり,自分の好きなことを仕事し,professionalとして作品を作り続けてきた。日本でもベストセラーがいくつもあり,世界中で本が売れている。このような人生を送るために,彼はどう考え,どう行動してきたか。小説家に限らず,profesionalとして長期間何かを作り続けるにはどうしたら良いか。いろいろユニークで実践的ヒントが正直に語られている。

* 村上春樹は,すごい。
**   世界の50以上の言語に本が訳されている。(p.293)
** プリンストン大学に勤めていた。
https://www.princeton.edu/main/news/archive/S21/25/15A07/index.xml

** 作品,あるいは作風,つまり読んだ感じが,他の作家と何か違う。
オリジナルかつ読みやすい。
***
かなり我慢強い性格,辛抱強く丁寧に積み重ねてきた。(p.167 )
基礎体力と「逞しくしぶとい」心をバランスよく,「身銭を切って」作り上げてきた。
「継続は力なり」,持続力,積分型。
 「一人ぼっちで仕事をしてきた」。(p.264)
** アメリカの伝統ある雑誌
Newyorker
http://www.newyorker.com/contributors/haruki-murakami
に作品が何度も掲載され,編集長とも親交がある。

* 小説家になるためのヒント。
** とりあえず本をたくさん読むこと。(p.119)
** その次には,事物や事象を詳細に観察し,頭に留める。メモやノートは使わないようです。「個人的なキャビネットの抽き出し」に入れるようです。
** 人を描くためには,多くに人を知らなくてはならない。人を観察する。(p.222)

* keywords
** ビートルズ
** サマセット・モーム (p.218)




2016年1月15日金曜日

ブラックホール天文学

http://www.nippyo.co.jp/book/7019.html

嶺重 慎(みねしげ しん)


(copy)
はじめに


第1章 ブラックホール天体とは~その観測的証拠
1.1 ブラックホール研究小史
1.2 ブラックホール物理学の基礎
1.3 ブラックホール天文学の前提
1.4 X 線連星系
1.5 超巨大ブラックホール

第2章 ブラックホールはなぜ光る?~標準円盤モデルの登場
2.1 球対称降着流
2.2 円盤降着流の基本
2.3 標準円盤モデル1--スペクトル
2.4 標準降着円盤モデル2--内部構造

第3章 高エネルギー放射の謎~高温降着流モデルの構築
3.1 高温降着流モデル1--基本
3.2 高温降着流モデル2--構造とスペクトル
3.3 超臨界降着流

第4章 ブラックホール天体活動の源~さまざまな不安定性
4.1 円盤不安定性理論
4.2 矮新星型円盤不安定とその応用
4.3 降着円盤における磁場
4.4 ジェットとアウトフロー

第5章 ブラックホールの進化~いつ,どこで,どのように
5.1 恒星質量ブラックホールの形成と成長
5.2 超巨大ブラックホールの形成と成長
5.3 超巨大ブラックホールの宇宙論的進化

第6章 ブラックホール研究最前線~これからの課題
6.1 シミュレーション研究の進展
6.2 強重力場におけるガス流の観測
6.3 ブラックホールとは何か

2016年1月12日火曜日

Feynman's tips on physics

http://www.feynmanlectures.info

https://books.google.co.jp/books/about/Feynman_s_Tips_on_Physics.html?id=UzId-nYlhJAC&redir_esc=y

(2016-01-12)
p.31
1.10 3点推量法

物理学者のやるべき事
自然界の新しい法則を見つけ出す事,
産業界の何か新しいものを開発する事。
なにかあたらしいことをやること。

自然界の様々な物事の相互の関連性を理解すること,
そのことを心がけてほしい。