2016年1月31日日曜日

宇宙が始まる前には何があったのか?

2014年3月,「宇宙の初期に起こったインフレーションによる重力波」の証拠を発見したという発表がアメリカのBICEP2グループからありました。

「インフレーション」とは,現在の所,もっとも有力な宇宙の始まりを説明するモデルです。このモデルによると,何も無かった宇宙が量子論的な揺らぎによって非常に短時間(0.0000....1秒; 10の-36乗)の間に急激に膨張(1000....000倍; 10の26乗)しました。
この理論を使わないと説明できない,いろいろな観測事実があります。

インフレーションが本当だとすると私たちの宇宙は「無」から始まったことになります。その前には,空間も時間も無かったと考えられています。そんなことが可能なのでしょうか? そもそも時間に始まりはあるのでしょうか? これらは,人類がずっと考えてきた究極の疑問です。多くの宗教や神話では,「神」が宇宙を作ったと考えます。では「神」はだれが作ったのでしょうか?これらの疑問に,最先端の技術を用いて「観測事実に基づいて」挑んでいるのが,現代の物理学者,天文学者たちです。

この本は,タイトルにある通り「無からどうやって我々の宇宙を作るか」をできるだけ分かりやすく,かつ現在の科学理論に基づき説明しようとするものです。科学的な説明に加えて,論理的にもどう考えるか,丁寧に説明しています。

著者のM.LKraussは,優れた素粒子・宇宙論研究者であり,一般向の本も何冊も書いています。

さて,本当に「無」から宇宙は作れるのでしょうか? これに科学的に答えるには,量子論と相対論が必要です。

量子論は,電子や陽子といった物質のもとになる素粒子の世界の理論です。ここでは,ある実験のエネルギーと時間は同時に正確には決められないという「不確定性原理」が重要になります。一方,アインシュタインによる相対論は,時間,空間,重力の物理です。宇宙の始まりは,無限小の大きさであり,時間と空間の始まりなので,この二つの理論を同時に考える必要があります。アインシュタインは,この二つの理論の統合に挑みましたが,成功しませんでした。ホーキングも大きな貢献をしていますが,成功していません。未だ,だれも成功していません。この本の主題も,この二つの統合に挑む最近の科学の成果が中心です。

さて,我々は宇宙の始まりを理解することができるでしょうか? それには,宇宙の果てに迫る非常に精密な観測が必要です。さらに,科学の常識を覆す新しいパラダイムを生み出す,ニュートンやアインシュタインに匹敵する天才が必要です。

昔の人は,「地球が丸いこと」や「太陽系が天の川の中にあり,宇宙には天の川のような銀河が大量にある」ことを知りませんでした。同じように私たちが知らない「別の世界」が存在するでしょう。もしかしたら,「我々の宇宙」以外に沢山の「宇宙」があるかもしれません。あるいは,我々の知っている4次元の世界は,実はより高い次元の世界の一部かもしれません。例えば,「超弦理論」や「M理論」がこれらを考えています。

この本は,このような現代の宇宙論を理解するきっかけになります。

なお,私も20年以上に渡り,宇宙を理解しようと日々働いていますが,未だ謎だらけです。

S.Hawking, 「A Brief history of Time」,「ホーキング,宇宙を語る」
S. Weinberg,"The first three minutes" ,「宇宙創成、最初の3分」

走ることについて語るときに僕の語ること

村上春樹

(2008-1)

良い本です。いろいろ参考になった。共感できた。面白くて読みやすい。

村上春樹の作り方が書いてある。走ること、書くこと、そして生きることについて、語るように書いてある。大事なことがいくつも書いてある。村上春樹さんの小説にも、大事なことがいっぱい書いてあるに違いない。恥ずかしそうなことなども含めて、正直に書いてある。

創作活動には、人並み以上の体力、意思、努力が必要らしい。当たり前か。

「本当に価値のあるものごとは、往々にして、効率の悪い営為を通してしか獲得できないもの」

僕も50歳になったら、自分の生き方を振り返り、こんな「メモワール」を書いてみたい。人生の棚卸しだ。僕は、50歳までにどんな習慣を身につけているだろうか? 自分の性格、体、心をどれだけ理解しているだろうか? 何をあきらめ、何をあきらめていないだろうか?

体を鍛えることは、大事なことだ。



職業としての小説家

村上春樹

http://www.switch-store.net/SHOP/BO0068.html



* 村上春樹は,30年以上にわたり,自分の好きなことを仕事し,professionalとして作品を作り続けてきた。日本でもベストセラーがいくつもあり,世界中で本が売れている。このような人生を送るために,彼はどう考え,どう行動してきたか。小説家に限らず,profesionalとして長期間何かを作り続けるにはどうしたら良いか。いろいろユニークで実践的ヒントが正直に語られている。

* 村上春樹は,すごい。
**   世界の50以上の言語に本が訳されている。(p.293)
** プリンストン大学に勤めていた。
https://www.princeton.edu/main/news/archive/S21/25/15A07/index.xml

** 作品,あるいは作風,つまり読んだ感じが,他の作家と何か違う。
オリジナルかつ読みやすい。
***
かなり我慢強い性格,辛抱強く丁寧に積み重ねてきた。(p.167 )
基礎体力と「逞しくしぶとい」心をバランスよく,「身銭を切って」作り上げてきた。
「継続は力なり」,持続力,積分型。
 「一人ぼっちで仕事をしてきた」。(p.264)
** アメリカの伝統ある雑誌
Newyorker
http://www.newyorker.com/contributors/haruki-murakami
に作品が何度も掲載され,編集長とも親交がある。

* 小説家になるためのヒント。
** とりあえず本をたくさん読むこと。(p.119)
** その次には,事物や事象を詳細に観察し,頭に留める。メモやノートは使わないようです。「個人的なキャビネットの抽き出し」に入れるようです。
** 人を描くためには,多くに人を知らなくてはならない。人を観察する。(p.222)

* keywords
** ビートルズ
** サマセット・モーム (p.218)




2016年1月15日金曜日

ブラックホール天文学

http://www.nippyo.co.jp/book/7019.html

嶺重 慎(みねしげ しん)


(copy)
はじめに


第1章 ブラックホール天体とは~その観測的証拠
1.1 ブラックホール研究小史
1.2 ブラックホール物理学の基礎
1.3 ブラックホール天文学の前提
1.4 X 線連星系
1.5 超巨大ブラックホール

第2章 ブラックホールはなぜ光る?~標準円盤モデルの登場
2.1 球対称降着流
2.2 円盤降着流の基本
2.3 標準円盤モデル1--スペクトル
2.4 標準降着円盤モデル2--内部構造

第3章 高エネルギー放射の謎~高温降着流モデルの構築
3.1 高温降着流モデル1--基本
3.2 高温降着流モデル2--構造とスペクトル
3.3 超臨界降着流

第4章 ブラックホール天体活動の源~さまざまな不安定性
4.1 円盤不安定性理論
4.2 矮新星型円盤不安定とその応用
4.3 降着円盤における磁場
4.4 ジェットとアウトフロー

第5章 ブラックホールの進化~いつ,どこで,どのように
5.1 恒星質量ブラックホールの形成と成長
5.2 超巨大ブラックホールの形成と成長
5.3 超巨大ブラックホールの宇宙論的進化

第6章 ブラックホール研究最前線~これからの課題
6.1 シミュレーション研究の進展
6.2 強重力場におけるガス流の観測
6.3 ブラックホールとは何か

2016年1月12日火曜日

Feynman's tips on physics

http://www.feynmanlectures.info

https://books.google.co.jp/books/about/Feynman_s_Tips_on_Physics.html?id=UzId-nYlhJAC&redir_esc=y

(2016-01-12)
p.31
1.10 3点推量法

物理学者のやるべき事
自然界の新しい法則を見つけ出す事,
産業界の何か新しいものを開発する事。
なにかあたらしいことをやること。

自然界の様々な物事の相互の関連性を理解すること,
そのことを心がけてほしい。