1906年4月、ロシアの若き兵隊長(著者のアルセーニエフ)が、ウラジオストックを出発し、日本海に面する沿海州(ウスリー地方)の調査・探検にでた。仲間は、9名の兵士、植物学者、学生である。さらに、デルスウという特別な仲間がいる。彼は、狩猟を行いタイがの中で一人で生きてきた自然人である。日本海を経由して、沿岸、山岳地帯、タイガを越え、何度かの危険にあい、探検は続く。旅の終わりは、翌年の1月である。鉄道に乗って、ハバロフスクに帰宅する。
自然の様子、現地の人との遭遇が、客観的に具体的に描写されている。内容が濃く、読み応えのある自然地理学・紀行文学です。
次のような目次を見返すだけで、探検の様子が伝わってきます。
「出発、ジギト湾のほとり、行進開始、山地にて、洪水、、、、トラの襲撃、旅の終わり、、」
随所に斬新な表現が見られます。
また、自然の中での知恵、人間への深い観察が語られています。
例えば
「...(人は旅において)終わりに近づくにつれてだんだん興奮して、急ぎだし、失策をやらかしては、しばしば困るものである。」
とあります(200ページ)。正に、「遠足は家に帰るまで」ですね。
このような本を1965年からこれまで(2006年で第20刷)、良い製本で、出版し続けている平凡社・東洋文庫に感謝します。訳も中途半端でなく、完成しています。
長い旅、冒険です。僕もいつか、こんな冒険をしてみたいです。
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